建設事業者が公共事業を元請けとして受注する場合は、毎年の経審(経営審査事項)の受審の義務付けはご存じかと思いますが、建設業法の改正に伴い各審査項目で変更が行われ2021年4月より実施されますので、各事業者様は大変重要な事となりますので必ずチェックをしておいてください。
【「補佐者(1級技士補)」に対し4点付与】
経審の評価区分は以下のような形に分類されます。
※完成工事高(X1)
※自己資本額・利払前税引前償却前利益(X2)
※経営状況(Y、負債抵抗力、財務健全性など)
※技術力(Z、技術職員数など)
※社会性等(W、労働福祉、営業年数、法令順守、経理状況など)
今回の改正では、Z点とW点が改正されています。
Z点の改正は先の2020年10月1日施行の改正建設業法で元請の監理技術者を補佐する制度を創設するのに伴い、新設する「補佐者」を雇用する企業を加点評価する。
そもそも改正建設業法では、将来的な建設技術者や建設技能者の不足に備え、監理技術者の専任義務の緩和や主任技術者の配置義務の合理化、技術検定制度の見直しなどを行うことに主眼が置かれています。
これまで監理技術者や主任技術者は、請負金額が3,500万円(建築一式7,000万円)以上の工事の場合、現場への専任配置が求められていたが、新設する「補佐者」を専任配置すれば、2現場を兼務が可能。
補佐者は、改正建設業法に基づく新しい技術検定制度で創設する「1級技士補」となる。新技術検定制度は従来の検定制度を見直し、学科と実地を加味した第1次検定と第2次検定に再編し、第1次検定の合格者に「技士補」、第2次検定の合格者に「技士」の称号を付与する。1級技士補は、1級の第1次検定に合格したが、1級の第2次検定には合格していない者となります。
経審のZ点ではこの補佐者に4点が付与されることになります。また主任技術者相当には3点、監理技術者相当には5点が現在付与されています。
【継続教育の観点よりCPD単位取得に応じて最大10点を加点】
W点については、教育意欲を継続的に促進させる観点で、新しく知識・技術・技能の向上に関する取り組み状況という審査項目を追加(W10)、同時に建設業の経理の状況(W4)でも継続教育を義務化。具体的にはCPDなど継続教育を受けている技術者や建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した「建設技能者の能力評価制度」でレベルアップした技能者の加点措置が実施されます。また既に加点対象となっている建設業経理士1、2級も5年に1度の講習受講が義務付けられることになりました。
技術者は審査基準日前の1年間に習得したCPD単位に応じて最大10点が加点され、技能者は能力評価制度でレベル2以上にレベルアップした技能者の割合に応じて、最大10点が加点される。(技術者や技能者の割合が企業によって違うため、独自の計算式に基づいて算出する)
現在、建設業経理士は資格取得者に1級で1点、2級で0.4点を加点されているが、5年に1度の講習受講を義務付け、講習受講者「登録1・2級建設業経理士」だけを加点対象にすることとなります。また近々に「登録経理講習実施機関」を指定し、21年4月以降に登録経理講習実施機関が開催する講習の受講を義務付けとなり、16年以前の資格取得者に対する経過措置として、23年3月までには講習を受講しなくても要件をクリアしているとみなされる。
【提出書類の簡素化、22年度に電子申請に移行】
他には、経審の提出書類も簡素化されます。現在、完成工事高の上位5件までに提出する工事請負契約書は上位3位までに削減され、技術職員名簿も有効期限がない資格の有資格者について過去に提出した資料の再提出は求めない方向です。また2022年度には建設業許可や経審の電子申請を開始する予定で、その際には他省庁などが保有するシステムとも連携させ、経審に必要な国税・社会保険・法人登記の証明書類の添付も不要になる方針のようです。
重要な点のみを今回の記事では抜粋していますので、4月からの施行に併せご不安に感じてらっしゃる企業様がおりましたら、ぜひ当事務所までお問合せくださいませ。